小辞 po は分配量を表します。 Po は伝統的には前置詞に分類されてきましたが、多くの人は副詞的小辞として使っています。
Po には数、または量に関する意味しかありません。ですから po の後には必ず数詞、または量の表現が来ることになります: po kvin, po dek, po dudek mil, po multe, po kiom, po miliono, po duono, po iom, po pluraj, po paro, po egalaj partoj などです。単数形・複数形から量を推定すべき場合もあります: po pomo = po unu pomo, po tutaj boteloj = po pluraj tutaj boteloj.
Po は、複数の人、物、場所などへの分け前の量を示します。分け前の量は平等です。分配前の総量がいくらかを知るには、po で示された数の倍数で求められますが、何倍にすべきかは文脈から読み取る必要があります:
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Por miaj kvar infanoj mi aĉetis dek du pomojn, kaj al ĉiu el la infanoj mi donis po tri pomoj. - 4人の子どもたちにりんごを12個買って、1人に3個ずつ与えた。
りんご3つが4倍で、りんご12個になります。注意してほしいのは、3つのりんごを人数で掛け算すると、その答えは子供の人数ではなく、りんごの数になるということです。12人の子供ではなく、12個のりんごが答になるにきまっています。po が付くのも、掛け算をすれば答になるものの方(この例なら、りんご)と決まっています。
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Tie estis viro tre altkreska, kiu havis sur la manoj kaj sur la piedoj po ses fingroj, sume dudek kvar. - そこにすごく背の高い男がいて、両手両足には指が6つずつ、合計24本あった。
指6本が4倍(2本の手、2本の足)あり、計、指24本。
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Tiu ĉi libro havas sesdek paĝojn; tial, se mi legos en ĉiu tago po dek kvin paĝoj, mi finos la tutan libron en kvar tagoj. - この本は60ページある。毎日15ページずつ読めば、4日で最後まで読み終わる。
15ページの4倍で60ページになる。
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Ŝi ricevis lecionojn po dek eŭroj por horo. - 彼女は1時間10ユーロで授業を受けた。
授業が全部でたとえば4時間あったら、費用は、10ユーロの4倍で40ユーロ。
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Dume la gastoj trinkis po glaseto da vino. - その間、来客はワインを1人1杯ずつ飲んだ。
ここでは unu が省略されています: ...po unu glaseto... たとえば客が10人いれば、全部で10杯飲まれたことになります。
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Mi fumadis cigaredojn po dudek kvin rubloj por cento. - 私は100本で25ルーブルの煙草を吸っていた。
この類のタバコの価格は100本で25ルーブルです。たとえば500本なら価格は25ルーブル × 5 = 125ルーブルです。
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El ĉiuj vivaĵoj, el ĉiu karno, enkonduku po unu paro el ĉiuj en la arkeon, ke ili restu vivaj kun vi. - すべての生き物のオス・メスを1匹ずつ舟に乗せ、あなたたちと生き残るようにしなさい。
1000種類の動物であれば、2頭 × 1000 = 2000頭 ということになります。
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La urbestro aranĝas grandajn tagmanĝojn, kie la vino estas trinkata po tutaj boteloj. = ...po pluraj tutaj boteloj. - 市長は、ワインボトルが何本も空く大きな昼食会を開く。
毎回、昼食会では何本も酒が飲まれる。
以上の例では po は前置詞として使われています。数詞に意味合いを持たせる前置詞の説明では、 po が副詞として使われる例がでてきます。
Po の誤った使い方
Po を置く場所を間違えることがあります。典型的な例を見てみましょう:
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Tiu ĉi ŝtofo kostas dek dolarojn po metro.
話し手は、布1メートルにつき10ドルかかると言っているつもりですが、誤りです。Po は省略されている unu に関係し、po unu metro となっています。するとこのような計算になります:1メートル × 10 (単位:ドル) = 10メートル。Po が (unu) metro の前にありますから、計算結果は 10ドルではなく、10メートルとなります。布が10メートルで合計10ドルかかります。つまり1メートルあたり1ドルかかります。これは言いたいことは違うでしょう。
正しくは次のように言います:
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Tiu ĉi ŝtofo kostas po dek dolarojn por metro. - この布は1メートルにつき10ドルかかります。
例えば5メートルであれば:10ドル × 5 = 50ドル。Po が dek dolaroj の前に置かれているため、計算結果の単位はドルです。
多くの言語では、このようなフレーズの割当て先を示す部分にだけ1つ単語がつきます。この単語は割当て先である metro のほうに付きますが(訳注:日本語の「メートルあたり」のことです)、エスペラントの po は逆で、割当て量に付きます。これらを混同してしまうことがあるようです。エスペラントではこのようなフレーズに2つ単語を使います。poと、何かもう一方です。もう一方の単語には、ふつう por がよく使われます。ただし場合によっては他の前置詞(または名詞の副詞形)が使えます。先程の例ではたとえば laŭ metro や metre にしてもかまいません。
次の文の間の差異も気に留めましょう:
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La aŭto veturis po dek kilometrojn en kvin horoj. - その車は、5時間の中で10キロメートル毎に走行した。
この車は、合計で5時間走行して、合計で50キロメートルを走行しました。(10km × 5 = 50km )
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La aŭto veturis dek kilometrojn en po kvin horoj. - その車は、5時間毎の中で10キロメートルを走行した。
この車は合計で10キロメートルを走行して、そのことは合計で50時間続きました。(5時間 × 10 = 50時間)
斜線を伴う式
式 | 発音(読み) |
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20$/kg | po dudek dolaroj por kilogramo |
120 km/h | po cent dudek kilometroj en/por horo |
2 MN/m² | po du meganeŭtonoj sur/por kvadratmetro |
しばしば、副詞と一緒に po を使うこともできます: po 120 kilometroj hore 。
ある時にこのような表現において、最終的に ĉiu を付け加えながら po を省略することがあります、例えば: cent dudek kilometroj por/en (ĉiu) horo, dudek dolaroj por (ĉiu) kilogramo, du meganeŭtonoj por/sur (ĉiu) kvadratmetro.